歯の構造は図のようになっています。エナメル質は水晶と同じ硬さで人間の体の中で最も硬度の高い組織です。その内側に象牙質、さらにその内側に歯髄(神経)があります。歯根(歯の根)は歯槽骨と呼ばれる骨に支えられており、歯槽骨の上を歯肉(歯ぐき)が覆っています。歯槽骨に埋まっている歯根部分にはエナメル質はなく、セメント質と呼ばれる組織が存在します。セメント質と歯槽骨は歯根膜によって結合しています。むし歯や歯周病はこれらの組織が細菌によって破壊され引き起こされる疾患です。吹上みなみ歯科では、健康な歯と歯周組織のしくみを患者さんにも知っていただき、ご自宅でのケア重要性の理解を深めていただくよう努めています。
日本人が歯を失う原因の第1位が歯周病であり、大きな痛みなく進行することが特徴です。歯と歯肉の境目にある溝(ポケット)の清掃状態が悪くなると細菌の集合体であるプラークが蓄積し、細菌の作用で歯肉の炎症、出血、歯の土台である歯槽骨が溶ける、などの現象を引き起こします。むし歯予防と同じく、歯周病予防にも毎日の歯磨き習慣と定期的なプロフェッショナルケアの両方が大切です。吹上みなみ歯科では歯周病治療の技術を持った歯科衛生士が歯周病治療を担当します。また、治療後のご自宅でのケア方法や定期的なメンテナンスも担当します。
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口腔内には無数の細菌が生息しています。その中にはむし歯の原因菌であるミュータンス菌、歯周病細菌なども含まれます。悪さをしない菌もいますが、むし歯菌、歯周病細菌が増えると、歯の表面の成分を足倍にバイオフィルム(細菌叢)を形成します。これがプラークと言われるクリーム色のモサモサとした汚れです。プラークは柔らかいため、歯ブラシなどのセルフケア用品で除去できますが、1~2日で徐々に石灰化し固くなると歯ブラシなどでは取れなくなります。これが歯石です。歯周病細菌は空気が嫌いな細菌が多く(嫌気性菌)、歯の歯肉の間の溝(歯肉溝)内に深く入り込みます。その過程で歯肉溝内の組織を破壊し、これが出血の原因となります。また、毒素を出し、歯槽骨を溶かすため歯は土台を失い、歯が長く見える、揺れる、などの症状を経て、最後には自然脱落します。
吹上みなみ歯科では、歯周病治療のプロフェッショナルである歯科衛生士が担当しています。歯周病治療の成功には、患者さんの毎日の口腔ケアや生活習慣の改善が欠かせません。まずは毎日の歯磨き方法や生活習慣を問診させていただき、改善点をお伝えします。歯磨きの仕方が変わると歯ぐきの炎症などが徐々に引いていき、歯科衛生士の歯周病治療での痛みの軽減につながります(痛みが強い場合は麻酔をさせていただく場合もございます)。むし歯の治療のご希望でご来院された場合でも、歯ぐきの炎症などが強い場合は患部を応急処置の上、最初に歯周病治療から進めさせていただく場合もございます。
水が出る機械(機械式スケーラー)で歯石除去をおこなった経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。吹上みなみ歯科では「ハンドスケーラー」という手動の器具を主に使用します。高い技術が必要ですが、繊細な動きが可能で、丁寧な作業を可能にします。機械式スケーラーと共に、患者さんのお口の状況に応じた器具を適切に選択し、低侵襲で質の高い成果を目指しています。
リグロスは歯周病で骨吸収をした部分に投与し、歯周組織再生を促す歯周組織再生療法のための薬剤です。2016年9月より、保険適応の治療となったこともあり、吹上みなみ歯科では多くのリグロスオペを行なっています。(適応には条件があります)
リグロスは歯周組織欠損部の未分化間葉系細胞、歯根膜由来細胞に対して増殖促進作用を示すとともに血管 新生を促進します。これらの作用により増殖した細胞は骨芽細胞、セメント芽細胞へと分化し、歯槽骨、セメント 質及び歯根膜の新生や結合組織性付着の再構築により歯周組織が再生されます。
科研製薬ホームページより引用・改変
エナメルマトリックスタンパクという歯が生体内で作られる時に働く因子を歯周病になった歯根面に塗布することによって歯周組織再生を促す薬剤です。歯周組織再生療法の分野においては歴史が古く、世界的に実績があります。多様な術式や予後の報告が多く、患者さん自身の状態に応じた対応が可能です。自由診療にはなりますが、確実な治療結果を得たい場合には有効な治療法です。
レントゲン・CTなどで治療計画を立てます
歯肉を剥離し、感染物を除去します
必要な際には人工骨を添付することもあります
喫煙者・糖尿病など全身疾患のある方は予後が悪くなる可能性が高いため施術をお断りする場合があります。
術後のプラークコントロールが悪化した場合には、目標の歯槽骨形状に回復しない場合があります。